中小企業で生きていくシステムエンジニアが考えるライフハック・ITツール・投資、人生100年を生き抜く人生戦略、生産性向上をノリックが考える

中小企業で働くシステムエンジニアがライフハック、ツール、投資、人生100年を生き抜く人生戦略、生産性向上を語ります

新人システムエンジニアへ、むかし「SEを極める」という本があってな、新人時代にその本を読んたSEが44歳になって振り返る

私が新人時代、日経コンピュータの連載で楽しみにしていたのが馬場史郎のSEを極めるという連載だ。元IBMだった馬場史郎氏が業界のシステムエンジニアに向けてご自身の経験からシステムエンジニアの理想像をかたる内容で、新人だった頃の私にとって先輩以外からの貴重な助言として、自分をはげましてくれる言葉として毎回楽しみにしていたのだ。

 よほど連載が気に入ったのか私はその連載をまとめた本も買っていた。馬場史郎氏も一線を退かれ、「SEを極める」も私の本棚の片隅に置きっぱなしになっていたが、6回も私の引っ越しを乗り越えていまだに本棚のポジションキープをしていた。そういえばあれから20年たち、もう一度読んでみて自分が今どのようになっているのか振り返るのも悪くないかと思った次第である。

 

 SEを極めるの連載を知ったきっかけ

  システムエンジニアの新人時代、先輩から問われたことがある。

 

(先輩)

君は病気になった時、全然勉強していない医者に診察してほしいか?

 

(私)

いいえ

 

先輩)

君は勉強を教わる時、全然勉強していない先生がいる塾にいきたいか?

 

(私)

いいえ

 

(先輩)

君はシステムエンジニアの業界紙「日経コンピュータ」は購読しているのか?

 

(私)

はい。(これから)購読してます。

 

先輩の圧に負けて口から出まかせを吐いてしまった。でも言ってしまった以上は読むしか無いということでそれ以来ずっと購読を続けている。

 

鉄則1 任務は顧客満足度の向上と顧客満足度の向上

 システムエンジニアといえどもサラリーマン。自分の食い扶持を稼がなければならない。かと言って自分の会社ばかり見ていてもだめで顧客ビジネスの成功に貢献しなければならない。

 

システムエンジニアはシステムに詳しいのは当然でそれ以外にも、顧客業務の深い知識、コミュニケーション力、マネジメント力も当然必要だ。仕事が出来るやつでなければいけない。

 

馬場史郎氏からのメッセージを受けて情報処理試験の資格取得に熱中していたが、それだけではだめだと思い、一般のビジネス書やマーケティング、心理学、プロジェクトマネジメントの本なども読むようになった。そうすると自分の仕事の領域がどんどん広がっていった。入社5年目ぐらいの頃には、サーバー構築からアーキテクチャ選定、要件定義からプログラミング、導入まで一通りこなせるようにはなっていた。顧客とも話せるし、色々な相談を受けてそれを解決するもの楽しかった。しかし自分がすべてを見るというやり方をが通じたのはプロジェクトメンバーが10名以内までだった。

 

そこから大規模プロジェクトを担当するようになった。200名とか500名のメンバーが居る規模のプロジェクトだ。顧客と話すのはトップレベルの人や営業の人が話すのであまり出番がない。トップが言ったことを聞いてシステムをひたすら開発する。そんなことが数年続いた。

 

顧客と直接話して課題を解決したりクレームもらったり喜んでもらったりそういう事をしたいなら歯を食いしばって上に行くしか無いわけである。3年かかった。でも当時のプロジェクトは混迷を極めていたので顧客対応担当をするようになってからほとんど受けたのはクレームである。

 

システムトラブルが発生する。担当箇所のSEに何があったのかヒアリングして対策にどのくらいかかるのか、どんな悪い影響が顧客に発生しているのかまとめて電車に乗り込み憂鬱になるのである。まあ、本当に自分が担当したシステムで新規ビジネスを立ち上げてそれが起動にのって本当に感謝されることもある。ただそれは100のクレームを乗り越えた先にあると思ったほうが良い。

 

このぐらいになるまで12年かかった。それからは管理職やったり、自分が500名規模のプロジェクトのトップレベル努めたりして20年ぐらいすると、組織力が上がりすぎたのか自分のスキルが上がりすぎたのかその職場ではチャレンジが少なくなってきた。

 

今年からは中小企業向けのシステム導入をする会社に移ったが、顧客企業は課題山積である。社員150名いて生鮮食品を扱う顧客にいるシステム担当は1名だ。今ちょっとした話題になっている一人情シスである。生鮮食品だから土日祝日は関係ない。今年の11連休も普通にカレンダーどおりだったそうだ。そして生鮮食品業界の朝ははやい。だいたいメールが朝の6:30頃来ている。どれだけの激務なのだろうか、頭が下がる思いである。この人をなんとか助けないといけないという使命感が出てくる。でも自分の会社も儲けなきゃ簡単に潰れる中小企業である。

 

大手システム会社に入った新人SEが第一線で活躍できるようになるのは人それぞれの時間がかかると思うのだが、ITスキルだけではなくて様々なスキルを磨いていって上の人に認められてやっと顧客との真剣勝負するまでそれなりに時間がかかるだろう。

 

そんな人は中小企業の下請け仕事をしていない会社で働くと良いと思う。2,3年目でそれなりに客先に出られるようになって自分の提案が受け入れられるかもしれない。なぜなら一人情シスで中小企業の顧客は猫の手も借りたいぐらいなのである。

 

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鉄則2 ビジネス常識を持つITの専門家を目指せ

私が今の会社で不満に思う点がある。まだ入社したばかりだからどこまで突っ込んで良いのかわからないがシステムの提案をする時にビジネス視点が全く入っていない。今年はWindows7のサポート終了で特需で、バージョンアップ案件が中心というのも理由かもしれない。

 

ただ、今提案しようとしている案件は顧客社長からのトップダウン案件でパッケージを全社業務に適用する。なぜ顧客の社長はそうしないといけないと思ったのか?今も一部はシステム化しているのだが、それを捨てて最新バージョンのパッケージをどうするするのである。

 

システムを導入するというのは手段であって、それをやらなければと思った経営課題があるはずなのだが、どうもシステムを入れればそれで良いのだという雰囲気を感じてしまう。私がUターン転職した目的の一つに地方が人口減少に苦しむ中で地元中小企業の業績に自分が少しでも貢献したいと思ったのが理由だ。だからなんのためにシステムを導入しようとしているのか、きっかけを知っている営業の人や上層部の人に聞くのだが先方の社長の一言で決まったぐらいしか答えが返ってこないのである。

 

馬場史郎さんも、単にシステムが分かれば良いと思っているシステム屋に喝を入れるためにこの章を設けたのだと思う。

・自分の専門外でも一般的なITの話題について顧客と会話が出来る。

・IT専門用語を並び立てて話さず顧客に分かる言葉で話す。

・毎日マニュアルを読む。

・SEは町医者をたれ。

 

ただ、ここで言っているSEは町医者たれということについて最近自分の中で疑問に思うことがある。

 

私の上司は今の会社に新卒で入社して20年以上になるのだが、社歴が長いので多くの顧客を抱えている。なので一つ一つの顧客の歴史をしっているし過去にどんなシステム対応をしてきたか誰よりも詳しい。時にはそれはサポート業務と関係ない事じゃないかというような事にも対応している。あのパソコンのIPアドレスがわからなくなったとか、それは顧客側の仕事だろう?って事も無償でやってあげているのだ。

 

そうした地道な活動が継続した受注につながっているかもしれないが、サービスを提供する以上、対価を貰うべきではないかと思う。そうしないと後に続く者が君の上司は対応してくれたのに、君は対応してくれないんだ。というような事を言われかねない。私ははっきりと「それは契約範囲外ですね」っていってしまう側の人間なのだが、昔気質の人情にあつい上司から、それくらいはやってあげようって注意されたこともある。ではどれくらいなら断るのか?それくらいのフリーサービスが100個来たらどうするのか?これも交渉力というかビジネスセンスというか測り難いものさしを持たなければならないのだろう。

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鉄則3 チームワークを重視、守備範囲は臨機応変 

 この章で馬場史郎さんが語っていることで時代の流れで変わってしまったなというところがあった。馬場史郎さんはチームの価値観が一致していることが重要だと説かれているが、今やダイバーシティの時代。色々な価値観を持った人が集まった集団の方が圧倒的な成果を出している。問題なのは色々な価値観を持った人たちをどうやってチームとしてまとめ上げて成果を出していくかということではないかと思う。これに対する明確な答えは自分の中にはまだないものの、自分と異なる意見の人に対しても話を聞き、そういう見方もあるのかという心のゆとりが年をとるにつれて出来てきているように思う。

 

田舎の中小企業に転職して思うのはダイバーシティーの力を活かしたり、そういった環境で仕事をしたいと思うのならば東京で働くほうが圧倒的に良いだろう。数多くのIT企業があるし、外国人とプロジェクトを組んで働くということも経験できる。異業種交流会だって探せばいくらだってある。こういうことは田舎では難しいだろう。

 

私は大規模プロジェクトに携わることが多かったのだが、そうするとプロジェクト内を複数のサブチームに分割してマネジメントしていくことになる。システム全体をサブシステムに分割するのでサブシステム間のインタフェース設計が重要になるのだが、それはみんなわかっているのでチーム間ですり合わせることは十分にやっている。

 

問題なのはシステム全体に対するふわっとした課題が出てきた時、どのチームとどのチームに割り当てたほうが良いのかわからないような課題が出てきた場合である。大規模プロジェクトはだいたい忙しいので誰もそんな追加作業を引き受けたがらない。プロジェクトをまとめるトップ層に業務やシステムアーキテクチャに詳しい人がいればトップダウンで指示が来るのでみんな納得するのだが、そんな人は引っ張りだこだから要件定義が終わったときにはいないということがある。

 

サブチームのリーダーレベルだった若かりし頃の私はそんな問題があるとどれどれと積極的にクビを突っ込んでいった。そうすると自分が担当するチームのことだけではなくて他のチームのことも自然に覚えてくる。そんな事をしていると松本はあのチームでもやっていけるだろうと、プロジェクトのたびに一番ヤバそうなチームのリーダーを転々としていくことになった。結局全部のチームを転々としたので最後には巨大システムの細かいところまではわからないが全体感をつかめるようになる。馬場史郎さんが言っている

「杓子定規に守備範囲を決めるな!」

という事を気にかけていたから出来たのではないかと思う。結果的に自分のキャリア形成にとっては良い結果になった。ただ、チームのメンバーからは

松本さんのチームに居ると追加の仕事がどんどん来て困ります

という愚痴をいわれるので、それには申し訳なく思っている。

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鉄則4 しっかりした価値観を持て 

 上司と話していたときだ。私と上司が入社した1998年というのは2000年問題があったり、コンピュータのダウンサイジングが進み一人に一台のPCが当たり前になり、システム開発の仕事が豊富にあった。

 

SEの人材育成は追いつかない。業界全体としてプロジェクトマネジメントの成熟度も低いという時代だったと思う。残業、徹夜は当たり前。夜の9時に明日の朝までにこの資料直しとけって2日連続で上司から言われた時、2日連続の徹夜をやった。

 

そんなことだからシステムエンジニアの仕事は新3K(きつい、帰れない、給料やすい、結婚できない、心病む、・・・あれ?3つ超えている)などと言われ優秀な大学生はシステムエンジニアにだけはなるまいと思った人も少なくなかったのではないか。

 

それで、上司が言うのである。

あの頃は大変だったけど、そういう事を経て今の自分がある。今の若者は働き方改革で残業できない。だから経験値が圧倒的に足りないから彼らの将来のキャリアが心配だ。

 

ハードワークを通じて形成された上司の価値観なのだろうと思う。

私は違う考えを持っていて、私達のようなハードワークやデスマーチを経験しなくても素晴らしいキャリアを築くことは可能だと思うし、そうであって欲しい。

 

私は働き方改革で定時で帰れるようになって、ブログを書き始めブログ友だちもできて色々な分野の人の経験を知識として得ることが出来る。そこから自分にはない考え方やライフハック、価値観などを教えてもらって自分もやってみようとか、励ましのコメントを貰ってよし!やってやるぞ!って勇気をもらっている。

 

馬場史郎さんもこの章で以下のように語っている

しっかりした考え方・価値観を身に付けられるかどうかは、そのSEの気持ちの問題である。決して仕事量の問題でも情報技術(IT)の問題でもない。一人ひとりが自分で挑戦するしかない。

全く同感である。早く帰って自分がやりたい分野の勉強をする。これは仕事だけをしていては身につけることは出来ないスキルを習得できる。

 

私と同じ部署の若者はOracleマスターの資格取得に挑戦している。Silverに受かったからGoldにも挑戦するそうだ。仕事だけをしていたのでは、仕事で使うところはわかっても全体的なスキルを体系的に身につける事が出来ない。

 

システムエンジニアの基本的な知識を体系的に学ぶことを目的に情報処理試験の基本情報処理技術者試験を義務付けている会社は多いとおもう。私は新入社員時代に情報処理二種(今の基本情報処理技術者)試験に秋までに受からなければ現場に配属しないと脅されていた。一生懸命入社した年の秋の試験に向けて勉強して自己採点はボーダーラインでなんとか受かる事ができた。

 

ところがここ8年ぐらい(つまりゆとり世代と揶揄される世代)入ってくる新人の優秀さに毎年驚いている。入社した年の春には基本情報処理試験をとっているのは当たり前!

入社前にとりました!

基本飛び越えて高度情報処理試験を持ってます!

っていう新入社員が毎年のように入ってくるのである。

 

はっきり言ってゆとり世代前の方が情報処理試験を受けろ受けろと言っても忙しいだの受けたって意味がないとか言って資格持っていない人が多かった。

 

先日出たプレゼン大会でも全国大会に来ているのは8名のうち6名が20代、2名が私を含め40代だ。20代の彼らは入社してから自分の挑戦したことを語り素晴らしいプレゼンテーションをしていた。ゆとり世代のほうが圧倒的に挑戦しているのではないかと思っている。だから、猛烈に働かないからうすっぺらいキャリアになるとは思っていない。かと言って上司の価値観を否定しているわけでもない。

 

この章で馬場史郎さんの意見に今となっては反対意見を持っているところがある。

若い時の成功体験が鍵。・・・・・若い時に偽物を掴むとSEの成長はとまる。

今になって思うのは自ら挑戦し続けている人は、仮に間違ったやり方を掴んだとしてもきっとどこかで間違いに気づき軌道修正してくるはずである。私だって若い時に失敗してその反省からプロジェクトマネジメントを勉強したり、それでうまくいっても40歳過ぎてやった一世一代のプロジェクトで大失敗したりしている。

 

間違ったことを覚えても失敗したら直せばいいじゃないか。若い時の成功体験にずっとしがみついて仕事になれたら挑戦を辞めてしまって良いのか?中年SEだって、シニアSEだってチャレンジして失敗して反省してチャンジすることの方が絶対いいキャリアを築けるに決まっている。

 

スマートワークで早く帰って挑戦するかテレビ見て過ごすのか、そこにゆとり世代や中年世代、シニア世代は関係ないはずだ。挑戦した人が素晴らしいキャリアを築けるはずだと信じている。

 

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鉄則5 迷った時の判断基準は顧客51、会社が49

 ・・・・力尽きた。馬場史郎さんのSEを極めるの鉄則は50ある。なんとか頑張って50すべての章についてコメントをこのページに追記することとしたい。できれば馬場史郎本人からコメントもらいたい。 

 

のこり49章 2019/7/10

のこり48章 2019/7/11 

のこり47章 2019/7/15

のこり46章 2019/7/18

SEを極める50の鉄則 新装版

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